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看板広告、携帯電話の基地局設置などの管理組合の収益事業の税務申告は?

看板広告、携帯電話の基地局設置などの管理組合の収益事業の税務申告は?へ4件のフィードバックがあります。

  1.  マンション屋上の看板広告、携帯電話の基地局、NHKのお天気アンテナを設置している管理組合に税務署から呼び出しがあり、 税金の申告漏れに対する確認が行われた事例があります。
     これまで収益事業に対し、納税をしてこなかった管理組合は時効にかからない過去5年をさかのぼって申告するように指示され、加算税を含めた約860万円の追徴課税を支払うことになったというのです。
     税務署の指摘により、きちんと納税を行いましたが、通知が「突然」であったことから管理組合ではたいへん慌てたといいます。
     別の管理組合でも携帯電話基地局の賃料収入が毎月10万円あり、税務署に申告したところ、5年にさかのぼって法人税と追徴課税あわせて約300万円を納税したそうです。
     管理組合として考えられる収益事業は、携帯電話基地局、看板広告、自動販売機、空き駐車場賃貸、インターネット設備、店舗区画貸付、会議室等利用料、ゲストルーム宿泊料などです。
     近年は、管理費や修繕積立金の値上げによる収入増加の合意形成が難しくなっていることから、収益事業によって収入を増やす手立ても検討されます。
    一方、そうした管理組合の収益事業を狙って、税務署が法人税申告を通知する事例も増えてきました。
    納税をしても事業の収益は残るため、管理組合として積極的な事業収入の検討は必要でしょう。ただ、納税義務があるということは忘れないようにしたいものです。
    (大規模修繕工事新聞 第74号)2016-02

  2. 法人税 収益事業に限り、納税義務あり
    管理組合に課せられる税金には、国税として①法人税、②所得税、③消費税等があり、地方税として④都道府県民税・市町村民税、⑤事業税・事業所税等があります。この管理組合と税務の関係について、課税されるケース、非課税のケースはどういう場合なのかなどを整理し、数回に分けて掲載します。

    1.法人税
     「人格のない社団等」である通常の管理組合も、管理組合法人も法人税法上は公益法人等と同様に扱われます。
     このため、管理費用の徴収などの非収益事業所得に対しては非課税となりますが、管理組合も管理組合法人も収益事業を営む場合に限り、法人税を納める義務があるということになります。
    【携帯電話基地局の設置場所を業者に賃貸した場合】
     管理組合が通信業者との間で携帯電話基地局設置のため、マンション屋上等の使用を目的に建物賃貸借契約を締結し、その設置料収入を得ている場合は、不動産貸付業に該当し、法人税が課されます。
     その他、自動販売機設置料収入や太陽光発電設備による売電収入等についても収益事業と判定されるケースがあります。

    【駐車場使用料と収益事業性】
     昨今、マンション駐車場では空きスペースが増え、区分所有者以外の外部利用を認めようと検討する管理組合があります。ただし、外部へ貸し出すことになると、駐車場業に該当して課税対象となる場合が出てきます。
     国土交通省では国税庁に照会し、以下3つのケースにおいて、マンション駐車場に関わる課税関係を明確化しています。

    【収益事業の所得金額の分別管理】
     管理組合の場合、収益事業から生じた所得のみ法人税が課税されるため、管理費や修繕積立金会計と、収益事業に関する収支とを区分して経理しなければなりません。

    【所轄税務署長への届出】
     収益事業を営む管理組合は毎年、各事業年度終了の翌日から2カ月以内に、所轄税務署長に対して所得金額、法人税額などを記載した確定申告書を提出しなければなりません(法人税法74条)。
     また、新しく収益事業を開始する場合は、事業開始後2カ月以内に所轄税務署長に収益事業開始の届出をしなければなりません(法人税法150条)。

    大規模修繕工事新聞2023-02-158号

  3. 収益事業は必ず申告を!
    1.法人税の取り扱い

    管理組合は人格のない社団等に該当して法人税法の規定に入り、収益事業をやれば法人税の申告が必要、そして課税されるということになります。
    具体的に管理組合に関係しそうな収益事業とは、携帯基地局、インターネットの基地、電柱の設置、広告看板の設置…このあたりはその敷地を貸し付けたということで「不動産貸付業」に該当します。
     太陽光発電や風力発電などの売電事業については「製造業」に当たります。
     こういうことをやっていれば法人格のない管理組合であっても、基本は収益事業で法人税申告・課税となるということです。
     グレーゾーン的な部分もあります。
     ジュースの自動販売機による販売収入は、ものを売っているので「物品販売業」ということになります。
    基本的には課税なのですが、電気代くらいの料金設定でやっているのならば、例え申告したとしても「プラスマイナスゼロ」なのかとか、あとは規模的な台数とか、事業としてやっているのかというところでグレーゾーンにしてはどうなのかなっていう感じです。
     逆にジュースを買ってではなく、自販機を置かせてあげて、コカ・コーラや伊藤園などに置かせてあげて、手数料をもらっているような場合、電気代相当の手数料なんですけれども、台数がいっぱい置いてあるところが税務署から指摘されて、収益事業だ、法人税課税だとなるケースもあるようです。
     その他、ゲストルームの宿泊費、会議室の利用料、駐車場使用料です。
     駐車場使用料については、国税庁が管理組合の行う駐車場の外部貸しが収益事業になるかどうかの判定を公表しています。

    2.地方税の取り扱い

     地方税も基本的には法人税と同じ流れを組んでいます。事業税、地方法人特別税、法人住民税(法人税割)はひとまとめに「法人税等」という言い方で、納付先が国、各市町村、都道府県になるのかという違いがあります。
     事業税とか地方法人特別税というのは、ほとんどが所得に対して課税されていくのですけれども、例外的に太陽光発電等の売電事業は、収入額に対して課税されることになります。最初のころ、減価償却費が大きく赤字だとします。だから所得は出てない。ところが売ったという収入額に応じてパーセンテージかかるのです。税率の法制がありますので、注意が必要かと思います。
     「固定資産税(償却資産税)」は収益事業とは別の考え方になります。
     建物や土地という資産があることに対して課税されるのが償却資産税という税金になります。例えば機械式駐車場や太陽光発電の装置も該当してきます。
    (大規模修繕工事新聞96号)

  4. 管理組合に追徴課税、約860万円支払い!?
    過去5年分を徴収

    マンション屋上の看板広告、携帯電話の基地局、NHKのお天気アンテナを設置している管理組合に税務署から呼び出しがあり、税金の申告漏れに対する確認が行われた。
    これまで収益事業に対し、納税をしてこなかった管理組合は時効にかからない過去5年をさかのぼって申告するように指示され、加算税を含めた約860万円の追徴課税を支払うことになった。
    毎年の収入金額と納税額は表のとおり。現在は1年ごとに税額を申告している。

    対象となったのは神奈川県内の約30戸のマンション。毎年500万円以上の収益があったことから管理組合資産は
    潤沢だった。税務署の指摘により、きちんと納税を行ったが、指摘が「突然」であったことは否めない。
    平成24年2月、マンション駐車場の外部使用について国税庁が課税対象となるか否かについて見解を出した。管理組合の収益事業に対する税務署の目配りが広がったといえる。
    管理組合として考えられる収益授業は、携帯電話基地局、看板広告、自動販売機、空き駐車場賃貸、インターネット設備、店舗区画貸付、会議室等利用料、ゲストルーム宿泊料など。

    近年は、管理費や修繕積立金の値上げによる収入増加の合意形成が難しくなっていることから、収益事業による収入を増やす手立ても検討されるが、収益事業には納税の義務があることもおさえておきたい。
    (大規模修繕工事新聞 2013-11.5 No.47)

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