管理組合役員、修繕委員のお悩みにAI先生と全建センターの各分野のスタッフが回答します。

亡くなった区分所有者の滞納金回収は?

亡くなった区分所有者の滞納金回収は?へ2件のフィードバックがあります。

  1.  管理費等の滞納者(区分所有者)が死亡した場合、相続人調査として親続等へ連絡をとることができます。しかし、相続人が決まらない、相続人が相続放棄した場合などは、登記名義が死亡した区分所有者のままとなっているため、管理組合が自ら登記事項証明書(登記簿謄本)で調べる必要があります。
     複数の相続人がいる場合、話し合いが長引くことが考えられます。管理費等支払請求権の時効が5年なので、その間に何らかの対応をしなければなりません。
    調査の結果、相続人がいる場合は債務の相続を明らかにし、相続人が複数いる場合は分割債務として請求します。
     相続人がいない場合は相続財産管理人が選任されます。管理組合はこの相続財産管理人に滞納管理費等の請求をすることができます。さらに相続財産管理人は財産の換価(現金化)が職務なので、任意売却などの対応が早いと考えられます。
     任意売却等により特定承継人に請求できる債権は、管理費、修繕積立金、専用庭などの専用使用料、違約金としての弁護士費用およびこれらの遅延損害金(規約に明記する必要あり)があります。
     駐車場使用料など専有部分に付いていない個別契約でも請求できる可能性があるため、債務はすべて請求していくべきでしょう。
    管理組合としてはまず、相続放棄申述受理証明書の提示を求める作業を忘れないようにすることが大切です。いずれにしろ、登記簿謄本や戸籍関係、相続人の住所などの調査、相続人がいない場合の対応等、理事会の負担が大きくなるため、弁護士や司法書士などの専門家に相談したほうがよいと思います。

  2. 『マンションの滞納管理費等回収実務ハンドブック』

    滞納管理費等回収実務研究会/編

    滞納管理費等回収実務研究会は6月4日、『マンションの滞納管理費等回収実務ハンドブック』(民事法研究会)を発刊した。
    本書の前文では発刊の目的について、下記のように書いている。

    ① 管理組合の理事会役員が主体になって裁判関係の訴状等を作成することができるように「各種書式の記載事例」を掲載
    ② 法的対処ではなくて管理組合(債権者)と滞納者(債務者)とが十分に話し合い、両者が納得したうえで回収していく方法への対応策を推奨
    ③ マンションは社会資本と同時に個人財産の集合体であるゆえ、「当該財産のあるべき保全策」を提案

    滞納者をマンションから追い出す結果が強い「排除の論理」よりも、マンション内の「コミュニティーの醸成」を図りつつ滞納金回収活動を行うことを重視した内容で、私たち管理組合ネットワークが個別の管理組合に対して行う相談支援のための、非常に参考となる書籍といえる。

    (大規模修繕工事新聞 2013-8.5 No.44)

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