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マンション管理費と大規模修繕積立金の区分経理とは?

定期総会を1カ月前に控えた理事会で、管理会社が一般会計予算を持ってきました。区分所有者に総会資料を送付する2週間前です。  予算書の内訳をよくみると、なんと赤字決算です。赤字予算は消費税・損害保険料の値上げ、空き駐車場の増加による減収が主な理由でした。  しかし修繕積立金から借り入れすることで、会計上は黒字となるよう予算書が作られているのです。  管理会社フロントマンは3カ月前にかわったばかり。 しかも中途採用の新人です。こんなやり方は通じるでしょうか。このまま定期総会を実施できるのでしょうか。

マンション管理費と大規模修繕積立金の区分経理とは?へ2件のフィードバックがあります。

  1. 管理費と積立金は区分経理
    予算書での赤字補てんはできない

     修繕積立金は計画的な修繕工事などの経費に充当するために積み立てるもので、日常の維持管理のために徴収する管理費とは区分して経理しなければなりません。このため、一般会計の赤字を補てんすることは原則できません。
    定期総会にこうした予算書をそのまま出すことは難しいのではないでしょうか。
     今回の赤字予算は消費税・損害保険料の値上げ、空き駐車場の増加が要因にあるそうですが、何が理由であれ、予算書の内訳を精査しなければ、管理会社はこのまま通 して、来年管理費の見直しの提案を計画していたのかもしれません。
     一般会計が赤字になる場合には、修繕積立金を取り崩すのではなく、管理費の設定を見直す必要があるためです。管理費の値上げの際には委託費の値上げへの含みもあると考えらえます。
     とはいえ、現実問題は総会まで時間がないことです。
     現役でお仕事をお持ちの理事会メンバーだけで支出項目や委託業務を一つひとつ精査して、期限までに予算書の赤字を補てんする作業は至難といえます。余剰金の繰り越しで補てんしてもそれはあくまで会計上の操作でしかありません。
     では、どうするか―予算案だけ議案書から取り除き、 後日見直したあとに臨時総会を行うか―会計士、マンション管理士など、マンションの会計に精通した専門家に聞いて具体的なアドバイスをもらって下さい。

    (大規模修繕工事新聞117号)

  2. 大規模修繕積立金をマンション管理費に繰り込めるか?

    一般的には、大規模修繕積立金とマンション管理費は別々の目的で設定されており、互いに繰り込みや使用ができないように管理されています。これは、区分経理によって適切な財務管理が行われることを目的としています。

    大規模修繕積立金は、将来的な大規模修繕工事のために設けられており、定期的に積み立てが行われます。一方、マンション管理費は、日常的な運営費用や共有部分の維持管理、清掃などに充てられる費用です。

    両者を混同して使用することは、財務管理が不透明になるだけでなく、将来の大規模修繕工事に対する資金不足を招く可能性があります。したがって、一般的には大規模修繕積立金をマンション管理費に繰り込むことはできません。

    ただし、管理組合の定款や取り決めによっては、例外的な状況下で繰り込みが可能な場合もあります。そのような場合でも、繰り込みに関しては管理組合の総会で議決を経て決定されることが一般的です。しかし、このような状況は非常に稀であり、通常は避けられるべきです。

    大規模修繕積立金をマンション管理費に繰り込むことができない理由として、以下の点が挙げられます。

    1.財務管理の透明性の確保: 区分経理によって管理費と修繕積立金が別々に管理されることで、それぞれの費用の使途が明確になります。これにより、財務管理の透明性が確保され、入居者は適切な運営が行われているかを確認しやすくなります。

    2.資金不足の回避: 大規模修繕積立金をマンション管理費に繰り込むことは、将来の大規模修繕工事に対する資金不足を招く可能性があります。修繕積立金は、長期的な維持・修繕のために設けられており、その目的に沿って適切に使用されることが重要です。

    3.管理組合の信頼性の維持: 管理費と修繕積立金の使途が明確であることは、管理組合の信頼性を維持する上で重要です。逆に、両者を混同して使用することは、管理組合の信頼性を損なう恐れがあります。

    4.予算策定の容易化: 管理費と修繕積立金が別々に管理されることで、それぞれの費用に関して計画を立てやすくなります。これにより、将来の予算策定がスムーズに行えるようになります。

    例外的な状況下での繰り込みが可能であっても、大規模修繕積立金をマンション管理費に繰り込むことは避けるべきです。代わりに、管理組合は運営費用の見直しや効率化を検討し、適切な財務管理を行うことが重要です。また、入居者も管理組合の運営に関与し、適切な運営が行われていることを確認することが求められます。(AI先生)

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