管理組合役員、修繕委員のお悩みにAI先生と全建センターの各分野のスタッフが回答します。

修繕委員長の「独走」を止めるには

 理事長に就き、管理組合の仕事に関心を持ってはじめて気づ いたことがあります。  管理組合にはもともと理事会の下部組織として修繕委員会が 存在します。  ところが、修繕委員長が建設業に携わる人であり、これまで 彼の都合のよいように事業がすすめられてきたようなのです。 今度、大規模修繕工事を計画しているのですが、今も委員長が 勝手に施工業者を決めて工事内容等が進んでいます。  修繕委員長の「独走」を止めるにはどうすればよいでしょうか。

修繕委員長の「独走」を止めるにはへ2件のフィードバックがあります。

  1. 「理事会の諮問機関、決定権はない」
    まずは修繕委員会の細則、ルール制定を

     管理組合の役員の任期は1~2年ですが、大規模修繕工事は 計画から実施まで2~3年かかります。そのため、工事を完成 するためには理事会の諮問機関として修繕委員会を設置するこ とが少なくありません。  また、築年が古くなると修繕項目が増え、常設の修繕委員会 を置くケースもあります。そうすると、新任の理事会と、ベテ ランの修繕委員会の間で知識と経験の差ができ、力の均衡が崩 れてしまうというトラブルが起こるのです。  こうしたケースを防ぐには、次のような内容を含む修繕委員 会の細則などルールを定めましょう。
    ①修繕委員会は理事会の諮問機関であり、決定権はない ②修繕委員会は公募でも構わないが、任免権は理事会にある ③ 理事会の中に修繕担当理事等を決め、修繕委員会に特別委員 として入り、委員会の情報把握に努める ④ 修繕工事を受注する目的で委員会に入ることを防ぐため、委 員は工事の受注や営業活動ができないことを明確に定める  まずは修繕委員会のルール設定について、理事会と修繕委員 会でじっくり意見交換をしてはいかがでしょうか。大規模修繕 工事への取り組みはそれからでも遅くはないかもしれません。  <参考>NPO福岡マンション管理組合連合会30周年記念誌 『管理組合読本』

  2. 施工者選定の失敗事例紹介<修繕委員長が独断専行、専横主義的人物であるパターン>
    物件概要:RC 造、地上14 階建て・132 戸
    ◇経過
    修繕委員長が独断専行、専横主義的人物であるパターンのひとつ。
    この事例では施工業者選定前に、突如設計コンサルタントを解約し、委員長が強硬に推薦する施工業者を選定。同時に委員長推薦の工事監理者(と称する)を採用した。
    結果として、工事終了後、管理組合が施工業者と契約している竣工後のアフター点検、手直しについてまったく対応せず、工事監理者もまったく取り合ってくれない状態が続いた。
    工事監理者は建築士事務所でもなく、建築士も存在しなかった。
    さらに、委員長は工事完了後に引っ越していた。
    ◇失敗の分岐点
    解約された設計コンサルタントは、委員長と採用された施工業者の関係性を把握していたため、その旨、意見を具申していたが、修繕委員会メンバー等も委員長を恐れて公にされずにいた。
    委員会の行動に理事会は全面追認しかしていなかったので、コンサルタントがいない時点で何らかのチェック機能が働いていなかった。
    工事監理者については資格要件を確認していなかった。
    ◇後日談として
    管理組合では施工会社の対処について、解約したにもかかわらず、その設計コンサルタントに救いを求めた。
    曰く、「引っ越ししていった委員長の行為など、施工業者との関係性がスキャンダラスなため、改めて他社に経緯説明することは避けたかった」。
    その後、設計コンサルタントは弁護士を入れたプロジェクトチームを作るスキームを提案。法的措置に則り、施工業者を相手に調停を申し立てた。
    施工業者は調停の場でも勝手な持論を展開するなど、終始開き直りの態度をとったが、それでも点検行為だけは実施させるところまでこぎつけた(平成23年での1年点検が平成26年の実施となった)。
    管理組合はこれ以上の論争より、アフター保証はいらないからこの施工業者との縁を切りたいと嘆いている。
    (大規模修繕工事新聞 第68号)

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